生産者とデザイナーの責任

07 / 02

生産者とデザイナーの責任

ここのところ、新商品開発段階でのデザインの相談を受けることがちらほら。個人の方は希望感にあふれ、チームの方々はなんとか良いものをと切磋琢磨し、経営者の方は会社の未来をつくり、顧客や従業員とその家族を守ろうとしている。

 

人はクリエイティブに関わると輝く。

だから、ここに関わらせてもらうことは楽しい。

 

しかしながら、毎年毎年たくさんの新しい商品が生まれては消えていく。デザインの賞を取るような素敵なデザインの商品でも、売り場で目にすることがなかったり。メディアで取り上げられて認知度が高まった商品でも、翌年には姿を消していたり、市場は飽和状態且つサイクルが早い。

 

生産者は何か商品を提供し、多くの消費者を喜ばせることが仕事だし、デザイナーは、その商品がより多くの人の目に触れ、手に取りたくなるようにすることが仕事。…ただ、両者とも一度立ち止まって再確認したい。

 

 

「投じるなら意義ある一石を。」

 

 

せっかく、知恵・労力・資金、資源を使って取り組んでいるのだから、市場や社会への良い刺激を与えたり、世に良い循環を起こしたいもの。例えば、以下などどうだろう?
 

  • 市場既存商品を軽資源へリードするようなもの
  • パッケージの省容量、適正コスト(本体販売価格の何割)
  • 再利用、継続利用可能なパッケージデザイン等
  • 商品自体の持久性向上
  • 資源元関連事業への寄付活動(売上げの数パーセント)
  • リサイクル素材、廃棄物利用での商品、パッケージ開発
  • 地産地消モデル
  • ロングテールモデル
  • 広告宣伝、販促物のオンライン化

 
環境保全だけが課題ではないし、一点思考で片付く簡単な問題でもないが、SDGsからのブレイクダウンや単なる世の中のムードも含めて、今後厳しくなることはあっても、緩むことはないと思うのと、制約が課されれば課されるほど、新たなアイデアを産まれる機会となるので、これらを挙げてみた。実際に現状の案に+1要素でも加われば。
 
この他にもあらゆる視点から、世に受け入れてもらえるか否かで共に再考して、受け入れてもらえない要因をひとつひとつ潰していき、きちんと説明できる段階になれば、それは意義のあるものになるだろうし、結果として多くの人たちへ届く可能性も高まるはず。

 

デザイナーは、とりあえず依頼を受けてデザインすれば、報酬をもらえ、自身の実績も増える。でも、きちんと商品自体の存在価値と向き合わないと、様々なロスを生み出すことに加担しただけになってしまう。(そうすると、デザイナーの社会的価値下落へつながってしまう。)

 

デザインは商品の足りない部分をカモフラージュするものではなく、やはりその商品自体の意義検証からはじまり、届け方、使われ方、廃棄についてなど、顧客体験や時代背景などを考慮したうえでアドバイスすることが、相談されたことに対する礼儀だと思う。

 

これだけ物と情報がありふれており、経済・社会・環境のバランスが問われる時代だからこそ、やみくもにリリースするのではなく、今ある良いもの、面白いもの、素晴らしいものに敬意を払いながら、それらの意義を超えることを目指して慎重に取り組みたい。

 

それが何か物を生み出す人たちの最低限の責任。

(こんなことを言っているから、話がどっかへ行ってしまうのだろうけど。)