07 / 18

最後の一締め。

「おまえは優しいから最後の最後で、フッと手を緩めるからダメなんよ。」これは、独立したての時に再会した専門学校の時の先生からのダメ出し。当時、内心ムッとしたのは図星だったからだと思う。「優しい」の本意は「ぬるい」だったのだろう。

 

デザインやサイト構築において、最後の一締めに着手するか否かで、完成度的にも、その後の反応・反響的にも大きな分かれ道になるというのは、今だに毎回毎回実感するところ。

 

只々グリッドにはめていくだけだと、のっぺらなものになってしまうので、何度も何度も流し見しながら、見えないが確実に存在している線をもとに、伝える解像度を高めるために微調整を繰り返す。

 

それらのディテールの集合体が佇まいをつくり、その佇まいが『あり方』を醸し出すようになる気がする。いつまで経っても、どこまでやっても完璧の尻尾すら見えないが、その姿勢だけは持ち続けないと『つくる人』では無くなってしまう。

 

本当に毎回毎回あのダメ出しが脳裏をよぎり、最後の一締めを怠るとその後長期に渡って影響が出ることを再認識しながら、「いかん、いかん」と自分にダメ出しを繰り返す。

 

新人、中堅、ベテラン問わず、ダメ出しは永遠につきもの。それを他人に言われるか、自分自身で言うかだけの違い。どちらも言わなければ、クライアントやその先から。誰からも出なければ、歳月を経て負債的な評価・評判となって自分に返ってくる。

 

「よし、完成!」から、プライドを持って最後の一締めを。(お気づきかと思いますが、この記事は自分への戒めで書いております。)

 

 

追記:

コロナも終息しかけてあと一締めというところで開放してしまったなぁ。。

 

 

06 / 13

授業(就職戦略構築 編)

先日、修了式講話を行わせていただいたHANAさん(職業訓練校)にて今回は授業の受け持ち。5時間という枠の中で何をしようか?と決まらず、気がつけば本番5日前。。デザインやツールの使い方は通常の先生たちがやられているだろうから、絶対カブらないようにと以下のようなものにした。

 

    • 答えを与えてもらうではなく、答えを紡ぎ出す方法を学ぶ
    • 就職にも、デザインにも、現場にも役立つMETHODの活用方法
    • 自分ごとで感度を高め、現状把握、意識改革、目標から逆算
    • 「右にならえ」の思考停止からの脱却
    • とにかく紙に洗い出す。(PC、一切使わない)

 

おそらく、普通に学校通っていたら意識しないようなことを自ら浮き彫りにしていくので、苦しくて(意味分からなくて)全員白紙のまま頓挫するかも?という恐れもあり、かなりの冒険。ただ、この意識改革無くして未経験でWEB業界に就職は厳しいという現実は、嫌でも今後味わうであろうことなので、あと3ヶ月猶予がある中で、スイッチを入れることができればと思い実施。

 

この授業は、就職支援ではないのだが、仮想のクライアントを立て、仮想のWEBサイトを作っても、フワフワして何も身につかないので、自分の人生を絡ませることで真剣勝負にし、感度を高めてもらいたかった。結果としては、皆さんこの意図をしっかり理解し、苦しみながらもしっかり絞り出されていた。

 

そして、ちらほら以下の声が届き始める。

 

    • 書けなさすぎて自分が嫌になる
    • 今まで何も考えていなかったのが分かった
    • やるべきことが見えてきた!
    • もっと早くにやりたかった!

 

午前中紡ぎ出したものを用いて、午後はフリーで戦略構築。フリーとは、ツールもフォーマットも表現方法も一切制約なし。とにかく使用した用紙の裏に「誰に、何を、どうのようにプレゼントし、どう喜ばせたいか。」を書いていく。就職活動はプレゼンであり、生身の自分の売り込み。自分の良さを余すことなく伝えるために何か最適か?そこから考える。考えられなければクリエイティブな仕事に就くなんて無理。

 

やり方を教えるのは簡単だけど、皆が皆それをやると結局お互いが競合になるだけ、無味無臭のポートフォリオをメールで送るだけという思考停止アプローチを疑い、固定観念を打破することが第一歩。

 

できた人から、僕にプレゼンに来てもらい、それに対してアドバイス。内容は固まりきっていないけど、確実にその人にしかない魅力とアプローチの形が表れている。一旦、この思考回路になれば、かなり学習の見え方が変わってくるだろうから、あとは未提出の宿題を出しておしまい。

 

後日うれしいことに、即効で宿題と熱いメールを送って来てくれたり、手紙が届いたりと、うれしいレスポンスが。このアクションに起こすこと自体、なかなかできないこと。素晴らしい。何かを志す若い人ってキラキラが表面に溢れ出ていて、時折ハッとさせられる。

 

 

さて、次はコロナで延びに延びていた大学の授業が始まる。

 

 

ーーー

 

昼食時、何を食べようかと近辺をぶらついていたら、良い感じの蕎麦屋を発見。

 

蕎麦(黒)
黒と白がある。今回は黒を。
良い空気感
空気感が心地よい店内。
蕎麦湯
蕎麦湯の陶器も良い。
授業合間の蕎麦屋
風情ある入り口。

 

05 / 05

このタイミングで。

自社サイト「team」ページ掲載の下記文章。毎年毎年、何かしらの災害が発生する中、2018年の西日本豪雨災害が我が地区を直撃した後に飛企画の役割として明示した文章。

 

最近、デザインの役割として、地域・社会の課題を解決するものが大きくなってきています。経済・環境・社会のバランス意識が高まるなか、売り手も買い手も何かを選択するときに、以前にくらべ個々に責任を意識するようになったのではないかと思います。それは、“目の前のひとつひとつの選択が積み重なったその先に未来がある”という、あたりまえのことに目を瞑ってきた時代が終わりつつあるのかもしれません。

事業活動を継続する中で、今の延長線上を進めばいいのかもしれないし、もしかすると今の延長線上ではない選択をしなければならないのかもしれない。どちらにしても、急流の中を進む自分たちのあり方を今一度俯瞰視する必要はありそうです。そして、悠々とした未来から逆算した“今”を見つめ、あなたが選択したあり方を飛企画はリデザインします。その想いやビジョンが高い解像度を保ったまま、求める人たちへ届き、共鳴するように。

 

そして今回のコロナ。これが収束したとしても確実にこれまでとは異なる社会のカタチになっていくっぽい。もう、「働き方改革」とか言ってる場合ではなく「暮らし方改革」。「経済を回せ」ではなく「社会を回せ」みたいな方向にいくんだろうなと感じる。
 
SDGs、エシカル、CSV、ESG投資など、こんな言葉が一般の人の口から出るステージにある今、それらを「きれいごとだ」という昭和の叩き売りスタイルの会社は消費者の対局側に位置付けられてしまう図式になることは避けられないように思う。
 

経済、社会、環境のグッドバランスをポーズではなく、自社のあり方として据え直さなければ自然淘汰される時代へ本格突入していく。昭和や平成のスタンスではなく、これからの時代にFITした自社の役割(理念、存在意義)を明示し、共感共鳴を創り出していくリブランディングは必須。
 
 

そんな中、こんな声も目にする。

 

「自社サイトに理念なんて載せても、誰も見ないよ。」

 

それも一理あると思う。

 

経営者が苦楽のもと到達した境地から紡ぎ出ぎ削ぎ落としたシンプルな言葉は、赤の他人や経験値の少ない人にとっては、ただの平べったく薄っぺらい言葉にしか映らない。だから、今一度噛み砕いて、分かりやすいイメージと言葉で組み直し伝わるように再構築する必要がある。

 

それでも、見ない人は見ない。でも、それでいい。その人とは感度レベルや方向性が異なるのだから。ただ、明示と発信を続けていれば、必ず共感共鳴する人は現れる。その人たちが、やがてお客さん、スタッフ、協力者となり、力を貸してくれるようになるはず。
 
今後、さらに仕事や就労の枠が曖昧になっていく中、職場や店舗という共通の“場所”ではなく、共通の“役割”でつながっておく必要がある。その“役割”を新たなスタンスとして明示するときだと思う。

 

このタイミングでリブランディングを。