ショートカットとスピードアップ

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スピードアップとショートカットの違い

「どんなに知識や経験があっても、新プロジェクト構想の7〜8割は失敗に終わる」みたいな言葉をよく耳にする。

 

 

問題は、その7〜8割の失敗をいかに早い段階で終わらせ、今後に学び反映させるか。その失敗に3年もかけてしまえば、その間に意気消沈してしまう。しかし、はじめの3ヶ月で失敗を完了させれば、高い情熱と資金を保ったまま、その失敗で明確になった今後の課題に意欲的に取り組むことができる。

 

 

「失敗は成功のもと」という格言の一層奥のレイヤーには、上記の言葉が隠されているのだと思う。

 

 

 

 

ただ、分かりきった失敗をわざわざする必要はないので、同じ失敗でもできるだけレベルの高い失敗にしたい。

 

 

たとえ頻繁に打合せしていても、面白いくらい捉え方は人それぞれ違う。色決めで「黄色に確定」となっても、各々の頭の中では「ビビッドな黄色」「くすんだ黄色」「淡い黄色」など、その人の好みや近々に体験やトレンドに引っ張られてしまう。

 

 

このわずかな認識の違いが、後に膨大なコミュニケーション・ミスとロスを生み出してしまう。皆、一生懸命考えているし、誰も間違っていない。だけど皆の意見が合致しない。ただこれは、立場や役割によって普段から見えている景色や聞こえてくる声が異なるので必然の現象。

 

 

それをすべて集約した上で答えを出すためには、フレームワークを活用するなどし、皆の頭の中のものをすべてキャンバスに吐き出し、俯瞰視する必要がある。現状把握、認識の共有、整理整頓、顧客目線の施策、展開方法など、サッと実施してみるだけでも、自ずと皆の脳がリンクしてくるし、各々が具体案を発言できるレベルに理解度が高まってくる。

 

 

こうなってくると、“野原”で行き先を迷っているレベルから、三叉路や交差点などの“道”選択レベルに整ってくる。(道を間違えたのであれば、他の道を行き直せばいい。これは想定内の失敗なので、一段ほどレベルの高い失敗。)

 

 

自社でも他社でもあるあるだけど、この部分をショートカットしてしまうと、スピードアップどころか後で大きなツケを払うようになってしまう。

 

 

結局、プロジェクトの確度と鮮度を保つために「急がば回れ」。